YWCAは1918年の創立以来、よりよい社会の実現のために働く人、とりわけ女性のリーダーシップの養成に力を入れてきました。今号では、かつて大阪YWCA専門学校で学んだ4人の女性に、YWCAで学んだことや今の思いを伺います。
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独立を思い立たせたYWCA
リー・ヤマネ・清実(セクレタリアルアーツ学科卒、中小企業診断士、
パーソナルアシスタントギャラリーLee’s代表)
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1989年1月勤めてきた会社を辞め、自分に一年の休暇を与えることにしました。その矢先に目にとまったのが大阪YWCAの新聞広告。社会経験ある人を対象としたシニアセクレタリーコース開講の案内。秘書に興味はありませんでしたが、英語の勉強になればと入学したのでした。
全日一年制のコースを修了し、外資系企業へ再就職したのが1990年。いい会社でしたが、日本の会社も外資も結局勤めている限りは自分の可能性は拓かれない。そういう思いがふつふつと沸いてきた頃、にわかに甦った言葉と場面がわたしを動かしました。「どうして君たち就職することばかり考えるの? どうして自分でマネジメントすることを考えない?」。大阪YWCAでのある日のクラス、ニュージーランド人の先生が素朴に問いかけてきたのです。当時は反発しましたが、一年も経って、その問いがわたしに響いたのでした。1989年1月勤めてきた会社を辞め、自分に一年の休暇を与えることにしました。その矢先に目にとまったのが大阪YWCAの新聞広告。社会経験ある人を対象としたシニアセクレタリーコース開講の案内。秘書に興味はありませんでしたが、英語の勉強になればと入学したのでした。
全日一年制のコースを修了し、外資系企業へ再就職したのが1990年。いい会社でしたが、日本の会社も外資も結局勤めている限りは自分の可能性は拓かれない。そういう思いがふつふつと沸いてきた頃、にわかに甦った言葉と場面がわたしを動かしました。「どうして君たち就職することばかり考えるの? どうして自分でマネジメントすることを考えない?」。大阪YWCAでのある日のクラス、ニュージーランド人の先生が素朴に問いかけてきたのです。当時は反発しましたが、一年も経って、その問いがわたしに響いたのでした。
1991年3月に独立。今年で満20年が過ぎました。中小企業診断士というより、パーソナル・アシスタントという独自の概念を前面に、営利と非営利の垣根をこえ、企業・起業家の経営企画業務をアシストしています。ふりかえって、しみじみ独立してよかったと思う昨今です。独立して仕事をするうちに徐々に自分自身の本質が見えてきました。もし独立しなければ気づかず一生を過ごしたかもしれません。あの素朴な問いかけがここに至らしめたのです。私自身の例からも、誰かが誰かの人生の大きなきっかけをつくっている、思いもよらず人の人生を拓いている。そういう可能性がいつも私たちの間にはあるようです。
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たくさんの人との出会い
瀬良香織(国際関係開発学科卒、NPO法人関西NGO協議会職員)
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私とYWCAの出会いは2002年です。国際協力に関わりたくて情報を探していた時に国際関係開発学科(デグラ)の存在を知り、入学しました。
デグラでは、国際協力に携わるための基礎知識を学ぶと同時にたくさんの人との出会いに恵まれました。一緒に学んだデグラの同級生、講師の方、Yの職員さん、会員さん等「私たちが生活している、今の社会をもっとよくしたい」と考え、行動している方々との出会いが刺激になり、「私もがんばろう」という励みになりました。
現在は、デグラ時代にインターンを経験したことがきっかけで、関西地域の国際協力団体のネットワークであるNPO法人関西NGO協議会の職員をしています。関西地域の国際協力団体のサポートを目的として、広報支援や人材育成、政策提言などの活動をおこなっています。仕事の中でYと協力したり、講師の方々とご一緒する機会も多く、デグラでの1年間の学びと人脈が今の私の土台になっていることを実感します。
今後は、現在の仕事で得た情報や経験、人脈でYに貢献きればと考えています。
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目指したい方向が見えた
岩田えり子(国際関係開発学科卒、名古屋YWCA職員)
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大学生の時に名古屋YWCAでフェミニストカウンセリングの心理学講座を受講して衝撃を受け、ハマったまま紆余曲折。大阪YWCAのNGOワーカー養成コースを経て、女性のための相談・支援を主に担当する名古屋YWCA職員となって12年目です。
YWCAで得た一番のものは「なりたい女性のモデル」。それまで身近にいる女性に「あんな女性になりたい」と思う人はおらず、女性が社会に出ると差別され、厳しい現実がたくさん待っていると聞かされていたので、大人になって社会に出るのがとても怖かったです。でもYWCAで出会ったずっと年上の女性達は自分の意見をしっかり持ち、発言し、運動し、女性だけで大きな組織を運営していました。様々なバックグラウンドやライフスタイルなのに、みんなイキイキと楽しそうに生きている。これは私にとって救いでした。
もう一つ得たことは、自分の方向性が定まったこと。人権や平和など様々な社会問題について考える機会がたくさん与えられ、「私」の目指したい方向(女性への支援)が見えたことです。
YWCAに出会えなかったらどんな人生を送っていたか、考えるだけで恐ろしい…。
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多様性が財産
堀 奈央美(国際関係開発学科卒、大阪YWCA研修コーディネーター)
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私が大阪YWCA専門学校国際開発関係学科を卒業したのは13年前。入学前は、化学メーカーで研究員をしていました。チームで目標に向かい「もの」をつくっていくプロセスで、素材の研究開発よりも、人間観察が面白いと感じていた私。成果を出すのに、専門知識は必須ですが、それを発揮できる基盤となるのが人間力。創り出される商品の中に人間ドラマを見ていたからかもしれません。もともと興味のあった教育を勉強したくて選んだのがYWCAでした。多文化、宗教、女性、福祉等、様々な切り口での価値観や生き方の多様性を学べたのは、今の私の財産です。卒業後、企業研修関係の仕事に従事。そしてこの度ご縁を頂き、大阪YWCA人材育成・教育センターで研修コーディネーターを務めることになりました。対象は主に企業や社会人です。NGOで追求されてきた「違いを活かす社会」は、現在の日本企業でもテーマになっています。性別・年齢・国籍など多様な人材が、お互いの違いを認め、活かし、能力を発揮しあうことで、パフォーマンスの高い組織づくりができるといわれています。その他にも「自律した人材育成」「リーダーシップ」「仕事を通じての社会貢献」「ワークライフバランス」など、企業が今探求しているテーマの多くは、長年YWCAの中に培われてきたもののではないでしょうか。YWCAが蓄積してきた貴重な資源を活かしながら、企業を通しての社会人育成に貢献できればと思っています。
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